お子様がハブクラゲに刺された時のために知っておきたい7つのこと
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沖縄でのハブクラゲ被害とは
今年2020年も、先日5月28日、早くも沖縄県保健医療部から”ハブクラゲ発生注意報“なるものが発令されました。(期間は6月1日から9月30日まで)
「自分もしくはうちの子には降りかからないだろう」と思われがちな被害の代表的なものの1つに”沖縄の海でのハブクラゲ被害“があります。「楽しい思い出作りのはずだったのに・・・」と、ならないよう、事前に知っておくべきことがあるので「あ、そう言えばあんな記事読んだことがあるな」程度でもいいので、この夏、沖縄を楽しもうと思われているご家族の皆様にはぜひ一度目を通して頂きたいのです。
特にここ近年、沖縄本島への台風直撃の少なさと梅雨の少雨などで、夏の海水温の高止まりが著しい。そのためハブクラゲの成長も早く、それと同時に遭遇時期や被害も早まり、その件数も増えてきているのです。近年の夏は、早くから”ハブクラゲ発生注意報”が沖縄県から出され、今帰仁の海でも遊泳禁止のビーチも出るほどです。
実は、6年前、長男がまだ幼稚園の年中さんの時、ハブクラゲに刺されたことがあるのです。少し長文になりますが、我が家の経験を踏まえ、「沖縄の海で子どもを遊ばせたい」とお思いのパパママには是非知っておいて頂きたいなぁと思うことを綴って参ります。流し読みでも十分です。最後までおつきあい下さい。
ここからは我が家の実体験に基づくお話です
「あの夏は本当に色んな事があったなぁ」のハイライトのような出来事が「5歳の長男ハブクラゲに刺される」の巻でした。沖縄に遊びに来ていた姉家族と一緒に過ごす、午後の浜辺でのひととき。まさに沖縄生活でも沖縄旅行でもよくある光景。
日も傾きかけ、BBQの炭火の準備も整い、あとは浅瀬で遊ぶ子ども達にいつ「ごはんだよー」と呼ぶかタイミングをはかっていた、そんな時。
当時5歳だった長男の股下くらいの浅瀬で、従兄弟たちとパチャパチャと楽しげに遊ぶ声が、突如として悲鳴に変わった。
息子がシュノーケルとマスクを初めて使いこなせて、従兄弟のお兄ちゃん達のマネをして浅瀬でシュノーケルの真似事に興じていたそんな最中だった。一瞬、楽しげに遊ぶ声かとも思ったが、悲鳴にも似たその声が止まらない。。いつBBQのゴーサインを出そうかと時計を気にしつつ、既に浜に上がっていた私は、子ども達を遠目で眺めていた。
子どもたちの近くには姉も一緒にいたし、特にシュノーケルマスクで遊び始めたその日だったので、溺れてはいないか、それだけは気にかけていたつもりでいた。ただ、恥ずかしながらハブクラゲのことはまったくのノーケアだったことは否めない。
おさまらない悲鳴が続く中、浜辺から波打ち際まで、距離にして50mくらか、砂浜に足を取られながらも全速力で波打ち際に駆け寄り、無我夢中で長男を小脇に抱きかかえ海から上げた時にはもう既に、息子の両手足には無数の傷とハブクラゲの触手。
一緒に遊んでいた従兄弟とその母親(姉)も同時に被害に遭ったが軽傷で済んでいるようだった。しかしながら息子に至っては私に抱きかかえられながらあげるその泣き声が浜にいた全ての人を振り向かせる、そんな絶叫にも近い悲鳴をあげていた。そんな状態。
父親としては正直慌てた。
2014年当時、沖縄に来て丸8年、海のそばに住みはじめて丸4年。年中ちょこちょこと下の海に遊びにき、夏になれば毎日のように海で遊んでいた息子。それでも初めての経験だった。4年に1回、そんなオリンピックのような確率なんだろうけど、ある程度、対処の予備知識はあっても実際経験してみないとわからないもの。
大人ならまだしも、小さい子どもに苦痛や痛みが無いように、そして万が一の時にはそれが少しでも和らぐように、事前に情報を知っているのと知らないのとでは、大きくその時の行動が異なると思うのです。
息子が夏休み中ずっと楽しみにしていた従兄弟たちとの海遊び。その初日の出来事。滞在中、もっともっと一緒に遊びたかったのにかなり辛そうな夏休み終盤となってしまったのですが、ご旅行中のお子様の身に降りかかったならなおのこと。そうならないためにも、よく言われていることの焼き直しではありますが、特に小さなお子様をお連れで、沖縄の海で遊ばせたいとお考えのパパママには是非、読んで頂きたいなぁとの思いで、万が一の時の対処法まとめておきます。
その前に、息子が刺された際に、親身にご対応・アドバイス頂いた全ての皆様にこの場を借りて感謝を申し上げます。
こいつが犯人のハブクラゲか!?
そもそもハブクラゲとは
沖縄県保健医療部より
以下、沖縄県保健医療部の資料を参考に体験談交えてわかりやすく編集しています。
発生する時期は?
5月〜10月頃に沖縄地方のぼぼ全域で発生します。「お盆がすぎたらクラゲが出る」なんて、本土でも言い伝えられてきていると思いますが、沖縄では今年も5月末の段階で”ハブクラゲ発生注意報“が出されています。真夏に近づくにつれ海水温が上がり、ハブクラゲが大きく成長してきて被害の重症度が高まるという点、そして、海のレジャーを楽しむ観光客も増え被害発生件数が増えるという点で、最も注意すべきは7月〜9月頃なのでしょう。まさに沖縄の夏の海では十分な注意が必要です。
出没場所や時間帯は?
出没場所ですが、水深20~30cmほどの浅瀬、残念ながら小さい子ども達が波打ち際でパチャパチャと遊んでいる、そんな場所によく出る、といわれます。水温が暖かく潮の流れが少ない場所です。さらに、海水温が上がってくる午後から夕方、さらに潮が満ちてくる時間帯などは要注意です。
どんな身体をしているの?
ハブクラゲはカサと呼ばれる頭の部分と、4本の腕、そしてそこから伸びる、触手と呼ばれる糸こんにゃくのようなひも状の足で構成されています。成長すると頭が10cm、触手の部分は1.5mにもなるそうですが、頭が半透明なのでなかなか見つけにくいクラゲでもあります。息子が被害にあってからは注意深くなり、シュノーケリング中でも発見できるようにはなりましたが、基本は目立ちません。
どんな仕組みや動きで刺されるの?
長い触手には刺胞(毒針と毒液が入ったカプセル)がたくさん付いていて、何かに触れるとそこから毒針が飛び出し毒を注入します。ちぎれて触手だけの状態でもまだ毒が出て来ます。また、泳ぎも得意で浅瀬に集まる小魚を補食するため、人間が歩くスピードでスイスイと近寄ってくるので、泳ぎの苦手なクラゲというイメージではありません。
刺されるとどうなるの?
ハブクラゲの毒は猛毒でなんとハブの何倍とも何十倍ともいわれ、重傷の場合には、呼吸困難、ショック症状、さらには心肺停止に至り、これまでに幼児も含め3人の死者も出ているのです。ただの傷では済まない、ということは絶対に忘れてはいけません。
お子様がハブクラゲに刺された時のために知っておきたい7つのこと
では、実際にハブクラゲ に刺されてしまったら、どのように行動、対処すればいいのでしょうか。ここからは、実際に遭った被害の状況を踏まえて、万が一刺されてしまった場合に、どのような行動や思考をすべきか、まとめて行きます。
ハブクラゲに刺された時の対処法(もちろん大人の方の場合も同じです)
1.刺されたらその部分をさわらずにすぐに海から上がる
海中でビリっときたら(とういうか焼けるような激痛だそうです)、どうしても慌てて手で振りほどいてしまいがち。ただその動作が、付いた触手からさらに毒が発射されるきっかけになってしまいます。また手や腕にもその被害が及んでしまいます。絶対に触れずに海にあがりましょう。
2.刺された部分は絶対にこすらない
子どもなら痛い痛いと言いながらさわってしまうかもしれません。触手が付いていたら毒の発射を促してしまうので絶対にさわらせなようにしましょう。砂や水で流して触手を落としてもいけません。
3.糸こんにゃくの様な触手が付いていたら慌てて取り除かない
ここがポイントです。前に書いた通り、触手にはたくさんの刺胞(カプセル)があります。でもちょっと触れたくらいでは全ての刺胞が発射される訳ではないため、取り除いたり払ったりすると、それが刺激となって未発射の刺胞が発射されて被害が大きくなります。自分の身の場合は落ち着いて行動できても、子どもが痛い痛いと泣きわめいている最中に、海から抱きかかえて浜に上げ、足を見るとクラゲの足がついている、なんて姿をみると、苦痛を取り除いてあげようと反射的に取り払ってしまうのが親心。そうすると逆により一層、毒の発射を促してしまいます。事前に知っていても咄嗟に出てしまった行動が裏目に出てしまいます。絶対に取り除かないようにしましょう。
4.触手がついている部分に食酢をかける
お酢には刺胞の発射を止めるはたらきがあります。触れてしまって発射された毒以外の未発射の刺胞からの毒の発射を止めるための処置です。解毒をしたり痛みを和らげるための処置ではありませんが、それ以上の拡大を防ぎ、触手を取るために必要な処置です。海のスタッフや近くの食堂などから借りて処置しましょう。監視スタッフや海の家の方がいればその指示に従いましょう。よく言われている「ハブクラゲに刺されたらお酢をかける」というのは、半分あっていて半分誤りです。刺されたらやみくもに酢をかけるのではなく、毒の発射を防ぐため、触手がある場合のみ酢をかけましょう。触手が無いのににお酢をかけると、痛みが増してしまうことがあるそうで、逆効果になることも。
5.触手を取り除く
触手から毒の発射を抑制するためのお酢をかける処置をした後に、触手を取り除きましょう。
6.冷水や氷で冷やす
症状にもよりますが、冷やすと40分ほどで痛みはひくと言われています。痛みがひかないからといって冷やしすぎると、低体温症、軽度な凍傷などになってしまうこともあります。その人、その子によって、そして刺された場所や範囲によっても症状も異なれば、対応や対応時間も大きく異なるでしょう。症状が重ければ冷やしている間中も泣いたり痛がったりするでしょう。冷やしながら様子を注意深く観察し、次の対処の判断をするかしないか、周りのアドバイスにも耳を貸しながら、ご自身も冷静になって考えを整理する、パパママにとっても焦った気持ちを冷やす冷却タイムです。
7.痛みがひどい場合は救急車も躊躇せずすぐに病院へ
そしてここが第2のポイントです。氷やアイスノンで冷やしても痛がる、震える、目を見開いている、顔色がおかしいなどあれば、躊躇せず救急車を呼びましょう。もう一度言いますが、毒はハブの数十倍です。小さいお子様、刺された場所や、範囲などによっては大人とは違って毒のまわりが早く影響も広範囲でしょう。呼吸困難、心肺停止、ショック症状など、不測の事態に至ることも少なくありません。
息子が刺された数日後、対岸の島、古宇利島でもハブクラゲによる緊急搬送があり心肺停止にもなった子がいるというニュースきいて、身の毛がよだつ思いをしたのを覚えています。息子のあの状態であれば、今考えると救急車レベルだったと猛省をしました。
触手が付いていた場合の酢での処置、氷で冷やす処置などの応急処置は、救急搬送されたってどのみち同じ、という説もある。でも大人ならともかく、特にお子様の場合は、毒のまわり方が違います。刺された箇所、度合い、様子を十分に見極め適切な判断が必要です。
判断するのは、子どもでも、まわりの人たちでもなく、お父さんとお母さんです。もし、躊躇しているお父さんお母さんに助言を与える立場になったとすれば「救急車をよんだ方がいいのでは?」と一声かけてあげて下さい。いざという時、周りの空気に流され、なかなか踏み切れないものです。小さなお子様の場合は大袈裟でなく不測の事態を想定しましょう。対処や判断がよかったから不測の事態に至らなかったのか、もっと別の判断をしていれば、ここまでひどくならなかったのか、そんな複雑な思いが交錯してはいますが、でも、一歩間違っていれば、、と思い返すとゾッとします。
刺されたあとのこと
とにかく様子を見て、これは危ないと感じたら躊躇なく救急車を、もしそうでなくても必ず医療機関は受診し薬を処方してもらい、激しい運動や汗をかくことなどせず、1週間ほどは安静にしておきましょう。
うちの息子は、被害にあって1週間経過後でも、痛み、痒み、腫れ、傷の跡、と戦っていました。もしかしたら応急処置の時から一晩冷やしすぎて軽度の凍傷の症状も出ていたのかもしれません。
傷の跡が生々しく、軽症の右足より重度の左足の方が1.5倍ほどに腫れました。当時、夏休みがあけ新しい学期が始まり、運動会も近いというのに思うように幼稚園も行けませんでした。
触手が足に巻きつくようにして絡んだのでしょう、足の裏表に太いみみず腫れができていました。これほど広範囲だと、もう氷で冷やすとかアイスノンで冷やすとなるとかなり大変です。救急車を呼べば、全体的に冷やしてくれる対処法があったのだろうと思うと悔やまれます。
5年経った今でも、傷跡は残っています。
では海遊びの際に何を気をつければいいの?
沖縄に来たら奇麗な海で遊ばせてあげたいもの。うちの子でも4年通って初めての経験だった、それくらいの確率なんだろうけど、正しい事前情報を持った上で思いっきり遊ばせてあげて下さい。
防護ネットのあるエリアで遊びましょう
できることならハブクラゲ防護ネットのあるビーチで遊びましょう。tinto*tintoの下の浜、ウッパマビーチにはグラゲ防護ネットがあります。(ただ防護ネット内でもネット付近ではハブクラゲが寄ってくるというお話もありますので注意は必要です)
肌の露出をできる限り控えましょう
息子は半袖のラッシュガードと半ズボンの水着、そしてビーチサンダルという少し軽装だったのですが、できれば、長袖のラッシュガード、長いスパッツ、マリンシューズをはかせる、など出来る限り肌を露出させない努力をしましょう。これは沖縄の強い日差しから守るためにもなりますし是非オススメです。これはこの事件以来、うちの子達は海に行く時は必ずそうさせています。
大人が適切な知識を持っておきましょう
適切な対策、処置、判断を知っていれば、過度な恐れを抱く必要はありません。大人の方が、ある程度の予備知識をもっていること、少しだけでも回避、防御、軽減の策を知っていること、それが、お子様に沖縄の海での良き思い出をたくさん残してあげられる最も良い方法だと信じています。
それでも沖縄の海は最高の思い出が残せる場所
そんなリスクはありはしますが、ただこれだけは変わらないこと、沖縄の海は最高の思い出を残してあげられる場所ということです。
うちの息子は通い慣れた楽しい大好きなビーチなのに、刺されて泣きわめきながらアイシングをしている最中、「もうここには来たくなーい」と泣きながら訴えたのです。幸い、翌日も足をひきずりながらも砂浜では遊んだ息子。もしかしたらそれが荒治療でよかったのかもしれませんが、トラウマならなかったどころか、5年後の今では海は大好き、海の生物や危険生物が大好き!な少年になりました。その当時のことは海の男の勲章!?かのように、武勇伝を語っています (笑)。
是非、今年の夏、沖縄の海で子どもを遊ばせるパパママには知っておいて頂きたいことなのです。そして、沖縄の海を思いっきり楽しんでお子様にたくさん良き思い出を残してあげて下さい。
最後に再度、息子のために協力してくれた全ての方々に感謝するとともに、当時、長引く痛みと痒みと戦い、そして傷の跡が今でも残る、身をもってそのことを知らせてくれた我が息子に感謝、なのです。
この記事を読んで頂いて、そんな苦痛を味わうの子どもたちが1人でも減るよう、願うばかりです。
沖縄の海で子どもを遊ばせる1人でも多くのパパママに読んで頂ければうれしいなぁと、もし共感して頂ける方がいらっしゃれば、SNSなどで拡散を頂けると幸いです。息子の教訓が少しでも役立ちますように。そして沖縄の海でたくさんの思い出を作って頂けますように心よりお祈りしております。
長文、おつきあいありがとうございました。
大変でしたね。うちの子供達も学校帰りぷらーっとうっぱまビーチで泳ぐ様です。危ないからダメと言いたい所ですが、せっかくの綺麗な海、キチンとした、知識を伝えていきたいと思いました。ありがとうございます。
▼komorebiさんへ
コメントありがとうございます。
刺されるのは海で遊ぶ1つのリスクとしても、その後の対処だと思うのです。是非お子様にも教えてあげてくださいねー。ありがとうございました。
あらためて、対策を万全にしないとなと深く感じました。ありがとうございます。
お子さまの早い回復を願っております。
▼ミチノリさん
ありがとうございます。慣れるとつい気持ちもゆるみがちですが、万全な対策と万が一の対処を知っておく事ですね。
御礼のコメント書きたい。送りたいが送れるかなぁ。
コメントありがとうございます!お役に立てれば嬉しいです。